【11月4日レポ】メディカルサポートヨガ®専門講座
【11/4 医療・福祉×ヨガ ヨガ指導者・医療従事者向け講座レポ】
先日札幌市内にてヨガ指導者、医療職・福祉職従事者向けの専門講座を開催させていただきました。
まずは今回の講座の開催にあたり、メディカルサポートヨガへのご理解とご協力、お力添えを頂きました講師の先生方へ厚く感謝申し上げます。
また、講座や医療とヨガ、福祉とヨガに興味を持ちご参加下さいました参加者の皆様にも重ねて感謝申し上げます。
指導者向け講座は以下の3つのカテゴリーに分かれての開催となりました。
・ストレスとメンタルヘルス
(精神科認定看護師、(株)ここから認定看護管理者 村本 好孝先生)
・呼吸の解剖学、生理学
(北海道医療大学リハビリテーション学部 高橋 尚明先生)
・腸内環境と栄養学
((株)ウェルネスプランニング札幌代表取締役、管理栄養士
小松信隆先生)
この3つのカテゴリーは1月から始めた当事者向けの様々な「講座+ヨガ」のクラスのうち、指導者側からも受講したいとの希望が多かった分野でもあります。
※過去の当事者向け講座の内容等についてはminaminaホームページのコラム、活動報告レポートをご覧下さい。
「ストレスとメンタルヘルス」
精神疾患の基本的知識を学び、
ストレスの影響とメンタルヘルスにヨガがどのように役立つのかをテーマに、精神疾患を抱えている時の脳の状態や精神構造モデル、日本人に最も多い鬱のタイプ、関わり方、支援の仕方、快方へ向かうためにできるアプローチ、ヨガとの親和性について講義が進みました。
近年では脳科学者がストレス、メンタルヘルスにおいて“体の中の環境と外の環境の改善”“仲間と人生”について考えるようになったそうです。
その環境改善の一環として薬物以外のアプローチの1つとしてヨガが認められつつあります。
ヨガの持つ、「自分と対話する力を身につける」、「マインドフルネス」というアプローチがひとつのトレーニングとなり、脳に過剰な刺激をおくるキラーストレスの減退にもつながり、効果が期待できることを学びました。
また、その具体例手法等は姿勢の改善、呼吸の改善、内側から治る力を養うこと、つまりは2つ目の講義でもある「呼吸」にもつながります。
個人的な感想ではありますが、“苦労を希望に変える当事者研究の理念編”として村本先生が優しい笑顔でお話された「精神看護で何を大切にしているか。できることが増えるよりも楽しことが増える方がいい。」「人とことをわける。それは究極の支援となる。」これらはヨガのクラスでも意識して取り組んでいくことが出来ると感じました。
「呼吸の解剖学・生理学」
では冒頭に解剖学と生理学の違いを自分の指の動きを実験に“生体の基礎と現象”であることを理解してからのスタートです。呼吸活動とその仕組み、換気と呼吸の違い、呼吸の仕組みにおいては「拡散反応」「調節機構」「行動性調節」「自動調節」「体の酸性・アルカリ性」等、ヨガでもインストラクションをする上で「吐く息は大事」とよく言いますが、生理学からの観点でもやはり呼気の重要性を感じます。
そしてその呼吸活動を行うための構造・仕組みを実際の検体のスライドを見ながら、呼吸活動に大いにかかわるインナーユニット(腹筋群)の重要性を改めて再確認しました。
また、姿勢変化が呼吸に与える影響、(背臥位、座位、四つばいでの)換気力学の変化、胸郭運動、横隔膜の神経支配についての学びも、呼吸の誘導において様々な身体症状の方へのアプローチに生かせられる知識となりました。
最後に、腹式・胸式呼吸の誘導方法を紹介いただきましたが、いずれの場合もリラクゼーションが重要で、テキストに載っている誘導法の写真はまさに神経と脳の休息である「リストラティブヨガ」の様でした。
「腸内環境と栄養学」
では基本的な栄養学・栄養の流れに加え、食品や栄養素の組み合わせ、食事の時間など、まずは健康な体作りに不可欠な栄養摂取の工夫の方法を学びました。
食品については何が良い、何が効果あるなどと過剰なほどの情報が溢れています。商品の購買意欲を掻き立てるための“盛った情報”に気づかず鵜呑みにしてしまうことも。「実際は」を知ると、これからの食品の選び方に始まり、調理の仕方や摂取の仕方などが変わるそんな目からうろこボロボロの栄養学です。
腸内環境については、インスリン・女性ホルモン・消化管ホルモンの作用の講義や、運動をしていても便秘になるのはなぜか、環境の変化が起こり易い4月・10月は特に不定愁訴や過敏性腸症候群が増えるなど、メンタルと腸の関係にも触れました。腸内環境の改善や良い状態を維持するためには「食事・メンタル・消化管」の密接な関係、バランスを保つことが重要。胃や腸はすべて副交感神経に支配されていることからここでも、副交感神経の作用であるリラックス、排便機能に必要な筋肉、体幹の強化にヨガを生かせることがわかります。
最後は質疑応答でしたが、皆さんがそれぞれ持っている食や腸についての疑問質問が大変多く情報を精査していくことの難しさを感じると同時に、だからこそこういった研究や実践をしている専門家から情報を得ること、疑問を投げかけてみることが重要なのだと感じました。
グループワークは、ブレインストーミングで問題解決へ
今回の講座では、それぞれの講義が終わるごとにグループに分かれ“ブレインストーミング”を行いました。“ブレインストーミング”
とは、新たなアイデアを生み出したり、問題解決につながる発想を引き出すための手法です。
「何故この講座に参加したのか」から始まり、その背景にあるものや自分がそれについて何が出来るかなど、どんどん落とし込んでいきます。そして、出し合ったキーワードについて意見を述べながらカテゴリングやラべリングをしていきます。
今回ご参加下さった方はヨガインストラクター、医療職、福祉職に携わっている方でしたが共通の思いや疑問不安があったりそれに対しての対処法、アイデア、大変生産性の高いシェアリングタイムになりました。
専門的な講義を受けることで知識の幅を広げることはもちろん、同じ志を持ち、今それぞれがそれぞれの立場で医療または福祉にヨガを取り入れることを実践されている方、またはこれからのような活動をしていこうと思っている方々に直接出会え、意見の交換やアイデアを交換することもまたお互いに大きな収穫となったかと思います。
ご参加の皆様から頂いたアンケートを参考に良かった点、至らなかった点含め精査し、また同じ志を持つ皆様と共に学びと交流を深められるような場を設けていきます。
最後に改めて、「メディカルサポートのヨガ」にご理解とご協力を下さいました講師の先生方、ユーモアにあふれる素晴らしい講義をありがとうございました。
そしてお集まりいただいた参加者の皆様も貴重な意見、アイデアありがとうございました。大変勉強になりました。